画家バルティスの言葉だ。
スイスの山荘に住む彼は何を想うや。
幾何学的に自問しつづけ、螺旋を描く腕を休めようとしなかった。
僕はルネ・シャールの詩を思い出した。
いちど飛び立った雨燕は羽ばたくことを決してやめない。
それは死ぬまで飛び続けるマルチネ。
八月の窓ガラスには、六月の雨粒が貼りついている。
放りだしてドアを閉めた。
安穏とした生ぬるい夜を、亀の歩幅でそぞろ歩き。
街頭に照らし出された滑稽なシルエットは、坂道を下る。
春の芽吹きは心の息吹きであったように、夏の風は命を浮遊させる。
続けなければ、、、今宵も自分を。